9日前の春分の日。春の三日月は午後8時を過ぎて、金星とともに山の陰へと落ちて行きました。季節ごとにまた三日月も違った表情を見せてくれます。
この日はこの春に小学校を卒業したばかりの姪が、初めて一人で新幹線に乗って名古屋から泊まりに来てくれており、一緒にウッドデッキからこの三日月を眺めました。アニメ映画「千と千尋の神隠し」の中で宮崎駿監督が、主人公の女の子が一人で電車に乗って行くシーンを描けてよかったというようなことを言っていたのを本で読みましたが、初めて一人で電車に乗ってどこかへ出掛けるというのは、自分の子供時代を振り返ってみても、ひとり立ちしていくという過程の中でかけがえのない経験だったと思います。
電車の中で座りながら感じた緊張感、期待感、開放感、不安感、達成感が入り混じったような不思議な気持ち。旅先で見た風景。たとえはっきりとした記憶として残ることがなかったとしても、このときに感じたことが、心の成長の中できっと役に立つことがあるのではないかと思います。