裏の雑木林の中に、昨年、一昨年の春に黄色い小さな花を咲かせたキンランの枯れた株が残っています。その株の根元に溜まっていた落ち葉をそっと掻き分けてみると、下の地面から今年の新しい芽が顔を出していました。生命力に満ちた何ともみずみずしい新芽で、もし鹿などの動物が見つけたら真っ先に食べられてしまいそうに思い、誰にも摘まれることのないよう祈るような気持ちで、再びそっと落ち葉をかぶせてその場を去りました。
2年前に引っ越して来た直後に、この森の素晴らしさを最初に実感させた植物。絶滅危惧II類に指定される植物が今年もこうやって芽を出してきたことには、ホッと安堵の気持ちを感じる一方、この先いつまで無事に花を咲かせてくれるだろうかという心配が心の中に付きまといます。毎年同じ場所に花を咲かせる一株の野草に対して、これほど強い思いを抱くのは、私自身はじめてのような気がします。
花が開くのは、これから1ヵ月先の4月中旬頃です。